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DP知見島田発想 × AI構成

コメディからジョーカーへ——撮影監督ローレンス・シャーの視点と技法

Lawrence SherDPシネマトグラフィーJokerGarden StateThe HangoverShotDeckASC

Curated by Ryo

なぜこの記事を選んだか

3人のDP記事からの続きです。ローレンス・シャーはあの3人とは大きくスタイルが異なり、またジョーカーのイメージが強いものの実際には色んな映画を撮ってる人なので、ちゃんと知りたいなと思いClaudeにリサーチしてもらいました。

AI構成島田の発想・思考をもとに AI が構成しています。/ 選定・確認: 島田龍

ローレンス・シャー(ASC)は、コメディの笑いの間合いとオスカー候補のドラマ映像を両立できる、現代ハリウッドでも数少ない撮影監督のひとりです。『Garden State』(2004年)から『Joker』(2019年)まで、そのキャリアはジャンルの横断と、監督の視点への深い没入を一貫したテーマとして持っているように見えます。

始まりとしての『Garden State』——フレームで心理を語る

2004年、ザック・ブラフの長編デビュー作『Garden State』が、シャーを業界の注目に引き込みました。この作品でシャーは、アウトサイダーとしての主人公の疎外感をフレーミングで表現しています。主人公をワイドショットの中で孤立させ、周囲のキャラクターは人に囲まれた状態で配置する——言葉ではなく構図でサブテキストを語る手法ですね(出典: On Assemble)。

派手なカメラワークで語るのではなく、フレーム内の位置関係で心理を見せる。この「構図に語らせる」志向は、後年のドラマ作品にも地続きで効いている気がします。

『The Hangover』三部作——コメディを映画的に撮る

トッド・フィリップス監督との出会いは、2009年の『The Hangover』から始まります。三部作すべてを担当したシャーは、コメディ撮影における自分なりの方針を持っています。「コメディでは、技術的に複雑なカメラワークが映画を止めてしまう。演者の自由度を優先させるべき」という趣旨の発言が残っています(出典: Variety)。

ただ、自由度を優先しつつも、三部作を通して目指したのは「コメディらしくない映画的な見た目」でした。ラスベガスのシーンでは定番の観光スポットを避け、虚飾をはぎ取ったリアルな場所を選んで撮影したとのこと(出典: Variety / Wikipedia)。作り込みすぎない生っぽさが、かえって笑いの信憑性を底上げするんですね。

撮影監督が「何が面白いか」を体感として持っているかどうか——これはなかなか言語化しにくい資質ですが、シャーはそれを持ちながら、同時に画作りの厳格さも手放さないタイプのようです。

『Joker』(2019)——1970年代NYCを召喚する

シャーのキャリアで最も語られる作品が、『Joker』(2019年)です。第92回アカデミー賞撮影賞にノミネートされ、カメリマージュ映画祭でゴールデン・フロッグ(最高賞)を受賞しています(出典: Wikipedia)。

視覚の出発点は明確でした。意識したのは『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』『レイジング・ブル』『狼たちの午後』『ネットワーク』といった1970〜80年代のニューヨーク映画です。シャー自身は「どれか一つを直接引用したわけではなく、それらの映画と同じ布地から切り取られた映像にしたかった」と語っています(出典: We Are Cult)。

その質感を作る重要な要素が、ナトリウム蒸気灯です。シャーは「映画の色設計の大部分は、当時の街灯にあった汚い緑がかったオレンジ色のナトリウム蒸気灯に基づいている」と述べています——LEDに置き換わる前の、あの色温度ですね(出典: SlashFilm / colorculture.org)。クリーンでない光が、ゴッサムの澱んだ空気を作っています。

カメラはARRI ALEXA 65を主軸に、ALEXA LF と ALEXA Mini を組み合わせた編成とされています(出典: shotonwhat.com)。当初フィリップス監督はフィルム撮影を望んでいましたが、撮影前にニューヨークでフィルムとALEXA 65の比較テストを行い、最終的にラージフォーマットデジタルを選択しました。理由は「大判センサーで被写体を環境から分離できる」点——浅い被写界深度で、アーサー・フレックを周囲の世界から切り離していくための選択だったようです(出典: Gold Derby)。

アスペクト比も1.85:1を意図的に選んでいます。シネスコの横広がりではなく、より内省的な画角。シャーとフィリップスは「ごく早い段階で、二人とも『1.85だ』と言い合った」と振り返っています(出典: We Are Cult)。正方形に近いフレームが、閉塞感と親密さを同時に作り出すわけですね。

ホアキン・フェニックスとの撮影も特徴的です。あの浴室のダンスシーンは、もともと脚本では別の形だったものを、フェニックスがあのレベルまで持っていったとのこと。シャーは「ライトアップした空間に彼を解き放ち、どこへでも行けるようにした」と語っていて、即興でカメラオペレーターが反応していく作り方が、映画の神経質な空気感を生んでいます(出典: SlashFilm / We Are Cult)。

ジャンルを横断する統一哲学

コメディの『Hangover』とドラマの『Joker』、あるいはモンスター映画の『Godzilla: King of the Monsters』(2019年)——これらは一見バラバラですが、シャーは「根本的にはそれほど違わない」と語っています(出典: Variety)。どの作品でも「シーンと感情がカメラワークとライティングを駆動する」という起点は変わらない、と。ジャンルが変わってもアプローチの構造は同じ、ということですね。

色彩についても一貫した考えを持っていて、照明・構図・動きと同等の「物語を語る道具」として色を使う、と述べています。ヴィットリオ・ストラーロからの影響も公言しています(出典: British Cinematographer)。暖色と寒色を混在させる補色対比は、彼の作品にしばしば現れるシグネチャーっぽい要素です。

Team Deakins と、開かれた知識のコミュニティ

撮影技術の文脈でシャーを語る上で面白いのが、Team Deakinsポッドキャストの存在です。ロジャー・ディーキンス(ASC, BSC)とジェームズ・ディーキンスが主宰するこの番組に、シャーは2021年1月(エピソード81)にゲスト出演しています(出典: teamdeakins.libsyn.com)。

ディーキンスといえば、シャーが『Joker』でアカデミー賞ノミネートを受けたその年、撮影賞を受賞したのは『1917』を撮ったまさにディーキンス本人でした。けれど両者は「ライバル」というより、知識を開放的に共有するコミュニティの中にいる。これはDPという職能の、ちょっと独特で良い側面だと思います。番組ではシャーが、ロケーション撮影への偏愛、フィルムとデジタルの考え方、大作と小品を行き来することの意味などを語っています(出典: teamdeakins.libsyn.com)。

ShotDeck——「参照する」という行為をツールにする

シャーを「撮影監督」の枠だけで語るのは、少し難しくなっています。彼はShotDeckという映像リファレンスのプラットフォームを共同設立しました。数千本の映画から数百万のショットを検索できる、世界最大級の映像データベースです(出典: IndieWire)。私も個人的にShotdeckをベータ版の頃からサブスクで使ってて、まさに最高のインプット&レファレンスライブラリーって感じです。

撮影監督が、自分の準備作業(リファレンス探し)そのものを業界全体のインフラに変えてしまう——準備の緻密さと現場での即興性、その両方を支える土台として ShotDeck を作った、という発想がシャーらしい気がします。「見て、受け止めて、作る」という流れを、彼は道具のレベルでも形にしているわけですね。


出典

Curated by Ryo

島田のコメント

寒色と暖色の2色ライティングなんかはたしかにイメージ強いですね。あとヘアライト/バックライト強めの感じも。正直、あの3人に比べると特にJOKERスタイルは真似しやすいと思います。もちろん同じレベルでやるのはとても難しいですが。 Shotdeck というツールを使ってビジネスとして成立させてる点も、現代のDP的で真似したいな思う部分です。