15分の短編に、なぜ15か月もかかったのか
Curated by Ryo
なぜこの記事を選んだか
「どのように低予算短編を作ったか」を赤裸々に監督本人が書いている記事は貴重です。 しかもこの人は15ヶ月かけて、15分映画を撮るという恐ろしいほどの根気と執念です。
監督のエドワード・ロブレスが、自身の15分の短編ノワール『Pale Shelter』を、なぜ2年半(うち撮影だけで15ヶ月)もかけて作ったのかを赤裸々に綴った寄稿記事です。要点をまとめます。
どんな作品か
『Pale Shelter』は、ロサンゼルスでホームレスを狙った連続殺人を、ホームレスの男性が探偵役となって追うフィルム・ノワールです。ロブレスはこの設定に、①ノワールという語り口、②アメリカン・ドリームの暗部をのぞくテーマ、③LAの見過ごされた一角に分け入る美学、という3つの狙いを込めたとのこと。
「機材はあるが、金はない」
制作の前提が独特です。安定した仕事をしていた数年のあいだに、彼は機材一式——BMPCC 6K G2、Meike や古い Zeiss、名玉 Helios 44-2、ジンバル DJI RS4、ドローン Mavic 3 Cine など——を、自分ひとりで回せる「ワンマンバンド」構成で少しずつ揃えていたそうです。ところが撮影期間の大半は失業中だったとのこと。つまり「機材はあるが資金はない」状態で、クルーをほとんど雇わず大部分を一人で撮る、という"計算された"選択をしたわけですね。
数字も生々しいです。脚本13ページ、撮影15ヶ月(月に2〜3日・1日1〜5ショット・1ショット平均10テイク、時に30以上)、フッテージ2TB、総費用は約5,000〜6,000ドル。「制作手段を自分で所有し、自分の能力の範囲で作る」という思想が背骨にあるようです。
自然光・少ない道具で「連続性」を保つ
15ヶ月に及ぶ撮影で最大の敵は、コンティニュイティ(連続性)の維持だったとのこと。ロブレスは Miro で撮影済み/未撮影を色分け管理し、数ヶ月の中断があってもすぐ復帰できるようにしたそうです。衣装は主人公1着(Goodwill で調達・合間に洗濯)、撮影は多くを夕方から日没に寄せて光を揃えた。本人いわく夕景は「安価で美しい」——照明も実質4灯だけだったため、数ヶ月前の状態を再現するのも容易だったとされています。撮影を「釣りのよう」と表現し、実ロケ・実在の人・自然光の偶然性に適応していく作り方が印象的ですね。
主演のジョナサン・メディナや、DPの旧友フィリップ・ジャクソン(彼を「もう一つの目」と呼んでいます)といった少数の協力者の存在も大きかったとのこと。一方で、冒頭の犯罪現場シーンだけは約10人体制を組み、全員に適切な日当を払ったそうです。「真の"ノーバジェット"は存在しない」という一言が効いています。
撮る側の倫理
ロブレスは、路上で暮らす人々の顔や身元は映さない、という意識的な選択をしたと書いています。「彼らの生活は、私のための展示物ではない」。搾取に陥らないよう質感とトーンで街を描き、架空のホームレスの男性をまず一人の人間として見てもらうことを狙った——ノワールの様式を、社会を見つめ直す装置として使っている点が、単なる低予算自慢には終わらない奥行きを与えています。
(この記事は元記事を AI が要約・抄訳し、島田が選定・編集したものです。原文: https://nofilmschool.com/director-edward-robles-article )
Curated by Ryo
島田のコメント
正直私はここまでのローバジェット執念作品を作ることはないと思いますし、もっと人を集めてさっと3日ぐらいで撮りたいところです。 しかし、ノーランのフォロウィング的なアプローチであり、やろうと思えば誰にでもやり方なので学ぶべきところがありますね。 特に夕方撮影ばかりにしたことを 「安価で美しいです!」 と評していますが、まさにその通りだと思いますし、例えバジェットがあってもこれが正解になるシーンも多くありますよね