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島田の体験・観察記島田発想 × AI構成

AIに毎回ゼロから説明するのをやめた——撮影監督がObsidianを「第二の脳」にした運用

ClaudeObsidian第二の脳コンテキストエンジニアリング自動化仕事術AIワークフロー

Curated by Ryo

なぜこの記事を選んだか

先日の下記のインプット記事↓ センスと判断は、まだ人間に残る——AI時代に効く6つのスキル https://ryoshimada.com/input/cross/learn-these-6-ai-skills-now-before-ai-replaces-you この中の「コンテキストエンジニアになる」と「自分のジャービスを構築する」が、まさにここ最近、自分が毎日やっていることそのものだったので、具体的に何をやってるか紹介したいと思います。

AI構成島田の発想・思考をもとに AI が構成しています。/ 選定・確認: 島田龍

私は撮影監督・カメラマンで、AIの専門家でもエンジニアでもありません。それでもこの4ヶ月、Obsidian というメモアプリと Claude(Claude Code)を組み合わせて、「自分の仕事のしかた」をちょっと変えはじめました。

今日は、その地味だけど効いている運用を、できるだけ正直に書いてみます。立派なノウハウというより、「こういう方向で組むと、AIが急に頼れる相棒になりますよ」という体験記です。

まず、AIに毎回ゼロから説明するのをやめた

多くの人は、AIを「賢いチャット相手」として使っていると思います。空白のチャットを開いて、今の状況を一から説明して、質問する。これ、実はものすごくもったいない使い方だと、ある時から思うようになりました。

撮影で例えると、現場に来たスタッフに毎回「この作品はこういうトーンで、監督はこういう人で、前回はこう失敗して……」と全部説明し直しているようなものです。本来なら、一度共有した文脈はチームに蓄積されていくべきですよね。

そこで僕がやったのは、「自分の文脈」を一箇所に溜めて、AIに常時読ませることでした。会話を毎回ゼロから始めるのではなく、自分のことを理解した状態から始める。動画の言葉を借りれば「AIが実際に何を知っているか」を設計する、という作業です。これを地味に積み上げてきました。

第二の脳——Obsidian の Vault に全部ためる

その「自分の文脈」の置き場が、Obsidian の Vault です。いわゆる「第二の脳(Second Brain)」として運用しています。

中身は、PARA という考え方で整理しています。ざっくり言うと、projects(進行中の案件やプロジェクト)、areas(キャリア・経理・撮影など継続的に面倒を見る領域)、knowledge(学んだ概念や参考資料)、logs(日記・進捗ログ)、そして system(運用の仕組みそのもの)。今は30以上のプロジェクトが並行で走っていて、そのすべてがここに集約されています。

大事なのは、「きれいな知識」だけでなく「過去の判断と失敗」「自分の好み」「行動ルール」まで溜めていることです。たとえば日々の動きは一本の日記ファイルに時系列で残し、ToDo は「今日/明日/明後日以降/いつか」の固定の枠だけで管理する。案件の情報は Google カレンダー・Obsidian・Google ドライブに散らばっていますが、AIに一声かければ、それらを参照して最新の状態で答えてくれる。これが、一番ラクになった使い方です。

要するに、Vault は**自分にとっての「真実の源(SoT)」**になっていて、AIはそこを読みにいく。記憶を外に出してしまう感覚に近いです。

「賢いチャット相手」から「自分を知っている相棒」へ

文脈を溜めるだけでは足りません。AIに「どう振る舞ってほしいか」も渡しておきます。

Claude には、プロジェクトごと・全体それぞれに「指示書」を置いています(CLAUDE.md というファイルです)。ここに、作業の進め方、触っていい範囲、僕の癖や禁止事項を書いておく。すると、新しい会話を始めても、AIは最初から「この人はこういうルールで動く人だ」と分かった状態でスタートします。

さらに効いているのが「メモリ」です。一度伝えた好みや、やらかした失敗、その対策を、短いノートとして凍結していく。たとえば「この種の作業で前にこう失敗したから、次はこうする」という学びを feedback として残しておくと、AIは同じ轍を踏まなくなる。プロンプトが「どう尋ねるか」だとしたら、こちらは「AIが何を知っているか」を作り込む作業で、後者のほうが圧倒的に出力を変えます。

ここまで来ると、AIはもう「汎用の賢い人」ではなく、「自分の文脈と判断基準を理解した相棒」になります。

自分の「ジャービス」をつくる——夜のあいだに動く仕組み

最近は、もう一歩進めて「自分はトリガーを引くだけ」という方向に少しずつ寄せています。アイアンマンのジャービスみたいに、AIがバックグラウンドで勝手に動いてくれる仕組みです。

具体的には、寝る前に「おやすみ」と一声かけると、AIが7時間くらいのあいだに、決めておいた一連の作業(記事の健康診断、修正、執筆、整理など)を自律的に回してくれる。朝起きるとレポートとスマホ通知で結果が届いている、という運用です。外出前にも、残っているタスクを見繕って「戻るまでの時間」を締切に自動で片付けてくれる仕組みを使っています。

加えて、毎日決まった時刻に動く自動処理(メディアの収集・公開パイプライン)や、作業のたびに進捗を自動で記録してくれる仕組みも組んであります。自分が手を動かさなくても、システムが裏で回り続けている。 自分は発案と判断と決定に専念して、実装はAIとシステムに任せる——いわば「指揮者専任」です。

このinputシステムもその1つですね。

たとえば、撮影案件のLINEを貼るだけで段取りが埋まる

抽象的な話が続いたので、いちばん分かりやすい例を挙げます。撮影案件の段取りです。

僕の Vault には、一緒に仕事をするスタッフの情報が溜めてあります。誰とどういう関係値なのか(初めましてなのか、何度も組んでいるのか)、何が得意で(撮影なのか、照明なのか、フォーカスが上手いのか)、どの役割で入ってもらえて、ギャラの相場感はどれくらいか。撮影部はチーフ・セカンド・サードで役割も単価も違うので、その辺りも含めて「誰に何を頼めるか」が一覧になっています。

この状態を作っておくと、案件の連絡が来たときが本当にラクです。たとえば LINE で「◯月◯日、場所はここ、こういう内容で」と相談が来たら、そのメッセージをそのままコピペして Claude に渡すだけ。あとは、Google カレンダーに予定を作り、Google ドライブに案件フォルダを切り、Obsidian に撮影ノートを起こし、さらにスタッフの一覧を見ながら「この日ならこの人に声をかけられる」「発注の連絡はこういう文面で」というところまで、ばらばらに来た情報を一箇所にまとめて段取りしてくれる。

ポイントは、こちらが毎回説明していないことです。スタッフとの関係値も、自分は撮影と照明しか担当しない(録音や香盤は別の人、みたいな)線引きも、相場も、ぜんぶ先に Vault に入っている。だから生の LINE 文面を放り込むだけで、文脈を踏まえた段取りが返ってくる。現場に出ずっぱりの日でも、移動中にコピペ一発で案件が立ち上がり、すぐにカレンダーにと反映されるのは、地味にいちばん効いている使い方かもしれません。

もちろん完璧ではないですし、最終的にどう案件対応するは自分で決めます。Claude がやってくれるのは「叩き台を高速で揃える」ところまてですが、それでも随分助かります。

失敗を資産に変える——溜めたものが複利で効く

この運用をしていて一番実感するのが、蓄積が複利で効いてくることです。

うまくいったやり方も、派手にやらかした失敗も、ぜんぶ短いノートに残していく。日記は「事実の記録」「今の状態のまとめ」「普遍化した学び」の三層に分けて、生の出来事と、抽象化した教訓を別々に管理しています。こうしておくと、半年前の自分の判断や失敗が、今の作業にそのまま効いてくる。 …と言いつつ、AIも完璧ではないのでノートに残ってるのにそれを確認せずに聞いてくるとかはたまにありますが 笑

文脈と判断ルールというのは、検索すれば出てくる情報とは違って、自分の経験の上にしか積み上がりません。撮影現場での感覚、走り屋としての身体感覚、起業して数字を見ている視点——そういう個人的な文脈の上でしか生まれない「引っかかり」は、まだAIには持てない。だからこそ、それを溜め続けたものは、誰にも真似できない自分だけの資産になると思います。

複数の「自分」を並走させる

もう一つ、自分でも面白いと思っているのが、AIのセッションを同時に何本も走らせていることです。

プロジェクトごとに別々のセッションを開いていて、それらが「連絡帳」のような仕組みで互いにメッセージをやり取りします。たとえば一方で共通部品を直したら、もう一方に「直したよ」と伝わって作業の衝突を防ぐ。一つの作業の中でも、計画と検証は自分(の指揮するモデル)が握り、長い実装は別のAIに降ろし、重要な設計には第三のAI(私の場合はOpenAI Codex)に「独立した第二意見」を出させる、という分担もしています。

要は、一人で複数のチームを並走させている感覚です。やれることを全部同時に走らせて、早く失敗して、早く正解にたどり着く。一人だと到底さばけない量が、これで回るようになりました。

それでも、決めるのは人間

ここまで読むと「全部AIに丸投げしている」ように見えるかもしれませんが、実際は逆です。何を載せるか、何を良しとするか、どこで止めるか——最終判断は必ず自分がやるようにしています。AIに「良し悪し」までは渡していません。

「最新情報をまとめる」みたいな作業は、もう人間よりAIのほうが速いし網羅的です。そこで張り合っても仕方がない。では人間に何が残るかというと、「なぜこの情報が、いまの自分にとって大事なのか」という判断と、センスだと思っています。AIの出力を見て「これは十分いい」「ここは違う」と決められること。それを支えるのが、今まで溜めてきた文脈と判断ルールなわけです。

正直に言うと、このシステムはまだ発展途上で、毎週のように作り替えています。完成形があるわけでもありません。それでも、AIと働くというのは、賢いチャットに質問することではなくて、「自分という文脈を、ちゃんと外に設計して残していくこと」なんだな、と最近は思っています。地味な作業の積み重ねですが、これがAI時代の自分の輪郭をいちばんはっきりさせてくれている気がします。

Curated by Ryo

島田のコメント

「まだそんなの作る気ないよ」という人も日記や資料やメモ、つまり文脈/コンテクストをデータで残しておくのをオススメします。 いつかやろうと思ったときにすぐAIに読み込ませられますし、形式や誤字脱字は気にしなくていいです。どうせAIが整えて読み込んでくれるので。