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AI動向 in クリエイティブ島田発想 × AI構成

映像案件をAIで一元管理する——カレンダー×Obsidian×Drive を Claude で束ねる実務

AI動向個人体験ワークフローObsidian案件管理

Curated by Ryo

なぜこの記事を選んだか

私のClaude/Codexを活用した、撮影案件情報管理の構造を簡単に書いてもらいました。 こういう雑務は、ほぼ人がやらなくて済むと思うのでひと足先に自動化に向けてシステム作ってます!

AI構成島田の発想・思考をもとに AI が構成しています。/ 選定・確認: 島田龍

案件の連絡がLINEで来る。撮影日は決まったが、スタッフはまだ声がけ中。機材は前回の案件と日程が被っていないか確認しなければならない。香盤は先方に送る前に自分でも確認したい。請求書は案件が終わってから、でも前回の単価は何だったか……。

フリーランスで映像の仕事をしていると、このくらいのことが毎回ほぼ同時に来ます。案件管理のためだけにNotionやAsanaを開くのが億劫で、メモ帳と記憶とカレンダーを組み合わせて何とかしているという人も少なくないかもしれません。

この記事では、そういった映像案件のバラバラな情報をAI(Claude)で束ねて一元管理する実務ワークフローの話をします。ポイントは「AIに毎回説明し直さない」こと。自分の文脈を先に一箇所に溜めておいて、AIはそこを参照して動く——という設計です。


なぜ「三つのツールに情報が散らばる」のか

まず現状の整理から。映像フリーランサーが使うツールは、だいたい次の三つに分かれます。

  • カレンダーアプリ: 撮影日・打ち合わせ・納品締切を一望するために使う。現場の日程管理は結局これが一番視認性が高い。
  • ノートアプリ(Obsidian、Notion等): 案件の詳細——スタッフの連絡先・機材割り当て・撮影ノート・打ち合わせのメモ——を蓄積していく場所。
  • Googleドライブ: 素材・編集データ・ポートフォリオ・請求書といったファイル類の置き場。

三つのツールはそれぞれ役割がはっきりしていて、個別に使うぶんには合理的です。問題は、「案件を進めるたびに、この三つを行き来して同期しなければならない」ことです。カレンダーに入れた日程をノートにも転記して、ドライブにフォルダを作って……という手作業のたびに、確認漏れや更新忘れが起きやすくなります。

AIを使うと、この「同期の手間」をかなり省けます。


MCPという仕組みが変えたこと

少し技術的な話を先にしておきます。

Anthropicが2024年11月に公開した MCP(Model Context Protocol) は、「AIアシスタントとデータが存在するシステムを繋ぐ新しい標準規格」です。Anthropicはこれを "AIアシスタントをデータが存在するシステムに繋ぐ新しい標準" と説明しています(Anthropic公式)。

もう少しかみ砕くと、従来はAIに「この書類を見て」「このカレンダーを確認して」と伝えるためには、内容をコピー&ペーストしてチャットに貼り付けるしかありませんでした。MCPはその橋渡しを自動化するプロトコルで、ClaudeがGoogleカレンダー・Google Drive・Obsidianのノートなどを直接参照・操作できるようになります。


事例1——GoogleカレンダーとClaudeを繋ぐ

GoogleはClaudeと公式に連携するためのMCPサーバーを提供しています。Googleのドキュメントによれば、このMCPサーバーは「AIエージェントがGoogleカレンダーのデータと安全にやり取りするための標準化された方法」を提供し、できることは大きく三つです(Google for Developers)。

  1. データの読み取り: "List calendars, retrieve events, and check availability."(カレンダーを一覧する・予定を取得する・空き時間を確認する)
  2. アクションの実行: "Create, update, and delete events."(予定を作成・更新・削除する)
  3. 権限の継承: ユーザーが持つ権限・ガバナンスコントロールをそのまま引き継ぐ

これを映像案件に当てはめると、こんな使い方が組めます。

「6月20日から22日で◯◯社の撮影が入りそうなんですが、日程確認してカレンダーに仮押さえいれといてください。あとドライブにフォルダも作っておいて。」

この一文をClaudeに渡すだけで、カレンダーへの予定追加と、その日程・クライアント名に紐づいたドライブのフォルダ作成まで一気通貫でできるわけです。 (skillを設定すれば一言+先方からのメッセージコピペでもできます)


事例2——Google DriveとClaudeを繋ぐ

Google WorkspaceのClaudeコネクタは、ドライブについても具体的な機能を公開しています(Claude Help Center)。

  • 検索と取得: "Search and retrieve Google Docs from your Drive."(Docs を検索して取得する)
  • 対応形式: Sheets・Slides・PDF・画像・MS Officeファイルの読み取り
  • アップロード: "Upload any file type, with optional auto-convert to Google formats."(あらゆるファイルタイプをアップロード・Googleフォーマットへの自動変換も可)

映像の案件では、請求書・見積書・ポートフォリオ・香盤表など、ドライブに置くファイルが多いです。「前回の◯◯社への請求書のフォーマットを参照して、今回の単価で作り直して」という指示が、ドライブを直接参照しながら実行できる——というのは、実務的にかなり効いてくるかもしれません。

私の場合は、全案件ごとにフォルダ、案件シート(予算管理、見積もり、経費、請求書)を作っており、それらをテンプレからコピペし、案件名にリネームするところまでは自動化しています。 経費入力もレシート写真から自動で振り分けまでほぼできるようになってきました。


事例3——ObsidianのノートをClaudeに読ませる

ObsidianとClaude Codeを繋ぐ手段としては、コミュニティが開発したMCPサーバーがいくつか公開されています。

代表的なものが obsidian-claude-code-mcpGitHub: iansinnott/obsidian-claude-code-mcp)で、WebSocketを通じてClaude CodeがObsidianのVaultに接続します。このプラグインが有効になると、ClaudeはVault内のノートを読む・検索する・作成する・更新することができます。

バックリンク検索(「このノートを参照している全ノートを表示」)や、タグ・フロントマターを意識した検索・日別ノートへのルーティングなど、Obsidianの構造を理解した上でクエリを投げられるのが特徴です(Markana Media

映像案件の文脈だと、たとえばObsidianにスタッフデータベース(各スタッフの役割・単価・過去の実績・連絡先)を持っていれば、「今回の案件のメンバー構成を組んで、それぞれに発注メール文を草案して」という指示に、Obsidianのデータを参照しながら答えてくれます。

詳しく書いた記事がこちら [[https://ryoshimada.com/input/field-note/how-i-use-claude-and-obsidian-vault]]


クロスドメインの視点——フリーランスの「分散した情報」は職種を問わない

ここで、映像業界から少し視点を外してみます。

フリーランスが「クライアント情報・スケジュール・ファイル」の三つをバラバラのツールで管理し、同期に手間がかかるという問題は、映像に限った話ではありません。ライター・デザイナー・エンジニア・コンサルタントなど、プロジェクト単位で動くほぼすべての業種に共通します。

Tiago Forteが提唱したPARA(Projects / Areas / Resources / Archives)というフレームワークは、この問題に対するひとつの答えです。PARAfoundation.comでForteは「人生のすべての情報をたった4つのカテゴリで整理できる」と説明し(buildingasecondbrain.com/para、原文 "organize ALL the information in your life in just 4 main categories")、このシステムが「プラットフォームを問わずに機能する」と強調しています(同上、原文 "PARA is forever. Since it's platform agnostic, it won't go out of date")。

Claude Code公式ドキュメントでは、MCPを使ったワークフローの例としてこんな一文が挙がっています(Claude Code Docs)。"Create Gmail drafts inviting these 10 users to a feedback session about the new feature."「この10人のユーザーを新機能のフィードバックセッションに招待するGmailの下書きを作って」。これはソフトウェア開発チームへの例示ですが、映像の文脈に置き換えれば「◯月◯日撮影のスタッフ全員に参加確認メールの下書きを作って」と読み替えられます。

問われているのは「AIに何をさせるか」の発想の柔軟さで、ツールの設定自体はほとんどの場合、数時間の作業で済むようになっています。


実際に組むために——三つのステップ

抽象的な話だけで終わるのも不親切なので、実際に組む順序を整理しておきます。

ステップ1: まずObsidianに「案件のデータ」を入れる

カレンダーとドライブを連携しても、「案件の文脈」がどこかに書かれていないとAIは正確に動けません。最初の一手は、Obsidianにスタッフリスト・過去案件のメモ・自分のルール(撮影と照明しか担当しない、録音は別の人、等)を書き込むことです。箇条書きで十分で、誤字脱字は気にしなくていいです。Tiago Forteの言葉を借りれば「Your PARA system doesn't have to be 100% perfect for it to benefit you」(同上)。完璧を求めると始まりません。

ステップ2: Google WorkspaceコネクタをClaudeに繋げる

ClaudeのProプラン以上であれば、Claude.aiの設定画面からGoogleカレンダーとGoogle DriveをコネクタとしてONにできます。これは開発不要で、認証だけで完結します(Claude Help Center)。

ステップ3: ObsidianのVaultをClaude Codeから参照させる

Claude Codeを使っている場合、obsidian-claude-code-mcp などのプラグインを設定すると、VaultをMCP経由で参照できます。基本的な使い方は、設定ファイルにVaultのパスを書いてClaude Codeを再起動するだけです(Markana Media、原文 "Add an entry under mcpServers")。

ステップ3は少しだけ技術的ですが、公式ドキュメントと日本語の解説記事(Markana Mediaほか)も整っています。


「情報を渡す」から「構造を作る」へ

この話の核心は、AIに毎回コンテキストを渡すのをやめることです。

普通のチャットAIの使い方は「空白のチャットを開いて、今の状況を一から説明して、質問する」です。でもそれは、現場に来たスタッフに毎回「この案件はこういう内容で、クライアントはこういう人で……」と全部説明し直すようなもの——かもしれません。

三つのツールにMCPで橋をかけておくと、AIは「この案件について知っている状態」からスタートします。それだけで、指示の解像度が変わります。「スタッフに発注して」ではなく「◯◯さんに発注して」、「カレンダーに入れて」ではなく「◯◯さんの予定も確認しながらカレンダーに入れて」という答えが返ってくる。

映像の仕事は、撮影日というひとつの締切に向けて、複数の段取りが同時に走る構造です。その段取りを支える「バラバラな情報の同期」をAIに任せると、自分が集中すべき「どう撮るか」の時間が増えます。少なくとも、そういう方向に組めるようになってきた気がします。

Anthropicは MCPについて "a simpler, more reliable way to give AI systems access to the data they need"(AIシステムが必要なデータにアクセスするための、よりシンプルで信頼性の高い方法)と言っています(Anthropic公式)。「データへのアクセス」という話は、映像クリエイターにとって「自分の案件情報への、AIのアクセス」と読み替えると、急に現実的な話になります。

Curated by Ryo

島田のコメント

以前の記事でも書きましたが、ぜひコンテクスト(文字データとして自分の案件や好みや日記やとにかく色んな情報)を貯めておくことだけは先にやることをおすすめします。