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映像技術部のビジネス側面島田発想 × AI構成

CrewCalを作っています——撮影部の「空き」を、属人技からツールへ

(更新: 2026.08.27
CrewCal撮影部スタッフィングカレンダー開発記空き状況共有Googleカレンダー

Curated by Ryo

なぜこの記事を選んだか

映像技術部にとってのスケジュール管理はかなり重要だと思います。 ダブルブッキングで信用を失わないようにしつつ、機会損失はなるべく避けたい。 それを解決した自分用のシステムを、ツール化・サービス化した話です。

AI構成島田の発想・思考をもとに AI が構成しています。/ 選定・確認: 島田龍

2026-08-27 追記: iOSアプリがApp Storeで公開されました。無料です。Webと合わせて、どちらからでも誰でも使えるようになりました。

CrewCalcrewcal.jp)というツールを作っています。撮影の技術スタッフ——撮影部・照明部・録音部あたり——のためのスケジュール管理ツールで、入れた予定はふだん使っているGoogleカレンダーにそのまま入ります。何をするツールかというと、一言で言うと「撮影スタッフの予定を、他人に見せてもいい形に整えるだけ」のものです。派手な機能は特にありません。Webと、iOSアプリの2つの入口があって、どちらも誰でも登録して使えます。

先に実物を見てもらったほうが早いと思います。すでに1年動いているほうの現物ryoshimada.com/my-calendarで、CrewCalで作った島田の空き状況ページcrewcal.jp/u/79d8uswcegです。どちらも同じ島田の空き状況で、後者は前者を「島田以外の人も自分の分を持てる」形に組み直したものになります。画面が一通り見たい方は使い方のほうにまとめてあります。

撮影の予定は「空き/埋まり」の2値では足りない

DP(撮影監督)の予定表は、実は単純なbusy/freeでは表現できません。1日の中に「A案件の天候予備日」と「B案件の第2キープ」が同居するのが普通で、これはバグではなく撮影という仕事の構造そのものです。第1候補が確定すれば第2候補は繰り上がるし、天候次第で予備日がそのまま本番になることもあります。

この状態をGoogleカレンダー標準のUIで扱おうとすると、結局は運用でカバーするしかなくなります。記号(■◆▲△)で予定の種別を表し、「仮」「超仮」で確度を表し、公開時の予定あり/空き扱いを手動で切り替える。自分ひとりで回している分には、この規律は破綻しません。ただ、この規律を維持しているのが「ツール」ではなく「自分の几帳面さ」だったとしたら、それは他人に渡せない資産です。CrewCalを作り始めた動機はそこにあります。

空き公開そのものは、実はもう1年動いている

ゼロから始めた話ではなく、検証の半分はすでに済んでいます。空き状況ページを約1年公開運用していて、発注担当の窓口が実際にこのページを見て「◯日空いてますか」と連絡してくる、という状態がすでにできています。つまり「空き状況を外に見せると仕事につながる」という需要側は検証済みです。

残っているのは供給側、というか運用側の検証です。島田以外の撮影部・照明部のメンバーが、同じ規律(キープなら予定あり、打診なら空き扱い、記号を書く)を続けられるか。これはまだ誰も試していません。実際、直近の監査では規約違反イベントが対象カレンダーで0件でした。ただこの「0」は、島田に問題が起きていないことの証拠ではなく、週次の手動掃討で0に保たれていることの証拠です。CrewCalで本当に測るべきなのは違反数そのものではなく、この掃討作業を人力でやらない他人が0を維持できるかどうか、というところだと考えています。

いま動いているもの

2026年8月時点で、crewcal.jpは独自ドメインで本番稼働していて、招待制はやめたので誰でも登録できます。iOSアプリもApp Storeで配布中です(無料)。中身はだいたい次の5つです。

予定を入れる画面。日程 → 案件名 → 天候予備日 → 状態 → 種別、という「仕事の順」で入力すると、Googleカレンダーに入る記号・接頭辞・予定あり/空き扱いが全部自動で決まります。入力中に「実際にカレンダーへ入る文字列」がその場でプレビューされるので、画面とサーバで解釈がズレることもありません。これで「キープなのに予定ありを付け忘れる」という現行運用で最大のヒューマンエラーが、そもそも入力から作れなくなりました。第2キープになるかどうかも、日付を入れた時点で先に出ます(順位は先着で機械的に決まるので、人が選ぶ項目にはしていません)。

発注側に見せる公開ページ。上に貼ったcrewcal.jp/u/79d8uswcegがそれです。頭に名刺(表示名・部署・自己紹介・リンク・連絡先。どれも任意で、連絡先を出すかどうかは自分で選べます)が出て、その下に月のカレンダーが並びます。カレンダーに出るのは日付と埋まっている時間帯と◎だけで、案件名もクライアント名も一切出ません。ここは「出ないように気をつける」ではなく、公開ページに渡すデータの型そのものに案件名やイベントIDを持たせない作りにしてあります。実データ515件を入れた状態で、予定タイトル由来の文字列が公開HTMLに1つも出ないことを機械照合で確認済みです。公開するかどうかはいつでも切り替えられて、OFFにすれば誰からも見えません。

みんなの空き。空き状況ページを公開しているクルーが、横に日・縦に人で並びます。撮影の打診はいつも「この日、誰が空いてる?」から始まるので、人ごとにページを開いて回るのではなく最初から比較できる形にしました。日付や部署(撮影部・照明部・録音部など)で絞り込めます。ここでも出るのは空いているかどうかだけで、予定の中身は経路上どこも通りません。公開ページと同じ関数の出口をそのまま使っています。

iOSアプリ。月・週・一覧の3表示があって、22時から翌2時までのような深夜またぎの撮影も潰れずに出ます。現場でスマホから押さえられないと、結局あとでPCの前に座ったときにまとめて入力することになり、そこで抜けるからです。Webと同じサーバを見ているので、どちらで入れても同じカレンダーに入ります。

やめられること。予定はGoogleカレンダーに入るので、CrewCalをやめても全部そのまま残ります。連携解除も退会もその場で完了して、預かっているトークンは即座に無効化されます。

呼び方を「業界の言葉」に揃え直した

もう一つ、地味だけれど大事だった作業があります。CrewCalの画面は最初、島田の内輪の呼び方(仮/超仮/BUSY・FREE)をそのままUIの文言にしていました。ただ、これは初めて画面を開いた人が理解できる保証がありません。そこで、実際の業界でどう呼ばれているかを調べ直しました。

日本の撮影業界では、確度の段階が「スケ確認→キープ(第1・第2)→決定orバラシ」という形で運用されていて、これはスタジオ予約の実務解説にも明文化されています。CrewCalの状態設計(確定・第1キープ・第2キープ・バラシ・天候予備日)は、実はこの業界慣行とほぼそのまま一致していました。直すべきだったのは構造ではなく呼び方のほうだった、というのがこの調査の結論です。唯一「超仮」だけは対応する業界語が見当たらず、業界の言葉に置き換えると「スケ確認だけ来ていて、まだ拘束していない」段階、つまり「打診」に相当することが分かりました。画面の文言はこの調査どおりに直し、BUSY/FREEという表記も追放しました。カレンダーの中に残る記法(/超仮/■◆▲△)は一切変えていないので、既存データも週次のカレンダー監査もそのまま動き続けます。変えたのは人間が読むラベルだけです。

同じ形の問題を、他の業界はどう解いているか

「稼働可否を、詳細を隠したまま外に見せる」という問題は、撮影業界の外にもたくさん転がっています。

航空業界のクルー編成はPreferential Bidding System(PBS)という仕組みで制度化されていて、希望が競合したときは「seniority is used to give senior crew members the right to override junior crew members' requests.(先任順位を使って、上位者が下位者の希望を上書きできるようにする)」と機械的に裁かれます(Wikipedia)。CrewCalの「第1・第2キープは先着順で決まり、人が選ぶ項目ではない」も同じ発想です。

もっと近いのは、UKの「diary service」でした。IPS(業界百科事典サイト)の解説によれば「could tell a client if you were available for any particular day(クライアントに特定の日が空いているかを伝える)」のが仕事だそうで(IPS)、音楽業界にも演奏者手配のフィクサー向けに同種のサービスがあります(MAS)。CrewCalは、この人力の仕事をカレンダー1本の規律に肩代わりさせようとしているのだと言えるかもしれません。

逆に、似ているようで違ったのが日程調整ツールです。When2meetのようなものは「みんなが空いている1点を見つける」ためのもので(meetergo)、優先度つきのホールドが積み重なった状態を扱う設計にはなっていません。

使ってみたい人へ

招待制はやめました。いまはcrewcal.jpから誰でも登録できます。カレンダーを読み書きするアプリに出る「Googleはこのアプリを確認していません」という警告画面も、審査を通したので出ません。ふつうにGoogleでログインするだけで始められます(プライバシーポリシーと利用規約も公開済みです)。スマホから入れたい方はiOSアプリをどうぞ。同じアカウントで、Webと同じカレンダーを見ます。

そのうえで、撮影部・照明部・録音部あたりで「自分の空き状況ページが欲しい」「あの人の空きが見られたら打診が早い」と思った方がいたら、ぜひ触ってみてください。無料ですし、Googleカレンダーさえ使っていれば準備は要りません。合わないと思ったらいつでも連携を切れて、そのとき予定は全部Googleカレンダーに残ります。まず使い方を眺めてもらうのがいちばん早いと思います。感想や要望はryoshimada.com/contactから届きます。

今のところ分かっていること・分かっていないこと

ここまで並べてみて、あらためて思うのは、「稼働可否を、他人に分かる形で見せる」という問題自体は業界を問わずどこにでもあって、それぞれの業界が制度・人力サービス・ソフトウェアのどれかで解いてきた、ということです。撮影業界がまだそこを手作業と属人的な規律でしのいでいるのは、単に規模が小さくて専業のツールが出てこなかっただけなのかもしれません。

CrewCalで分かっているのは、「発注側が空き状況を見て連絡してくる」という需要側の反応だけです。まだ分かっていないのは、島田以外の人間が同じ規律を続けられるかという、一番肝心なところです。呼び方を業界の言葉に揃え直したのも、記号を「確定」ではなく「種別」として扱い直したのも、全部この一点のためにやっています。

当初は「信頼できる数名を招待して2週間観測する」という検証段階を挟むつもりでいたのですが、これはやめました。招待を配るのは結局こちらの手番で、しかも1枚も出さないまま日が過ぎていたからです。数名に頼んで使ってもらった結果は、たぶん「頼まれたから使った」という数字にしかなりません。それなら誰でも登録できる状態にして、自分から登録して、しかも空き公開をONのままにしておく人が出るかを見たほうが、知りたいことにまっすぐ届きます。そういうわけで、いまは開けた状態にしてあります。そこが伸びなければ、それは「規律は島田の属人技であってプロダクトではなかった」ということになるので、そのときは潔く撤退しようと思っています。

Curated by Ryo

島田のコメント

ぜひ使ってみて、ご意見や要望あれば教えてください!iOSアプリはさらに使いやすくなってるので、そちらもご期待ください。 →8/27 App Storeでアプリ配信開始しました! https://apps.apple.com/jp/app/crewcal/id6801041925